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第587話

他の生徒達がジャケットを脱ぎワイシャツ姿になっている中、隣の席の三条はジャケットをきっちりと着込んでいた。 何故かと問えば、きちんとした格好で訪れたかったのだと三条らしい真面目な返答に安堵する。 スレずにこのまま真っ直ぐ遥登らしくいてくれればそれが嬉しい。 「先生もジャケット着てるじゃないですか。」 「あぁ、それもそうだな。」 冬用のそれに暑さを思い出す。 夏用のジャケットも持ってきたがスーツケースは先に宿へと送ってある。 宿に着いたらジャケットだけでも着替えよう。 額に汗を滲ませる三条はペットボトルから液体を煽った。 上下する喉仏に噛み付きたい欲求を押さえつつぐっと堪える。 まだ4日もあんだよな 我慢出来っかな 隣にいるのに手に触れる事すら許されず、ただただ教師と生徒の距離を持ち続けなくてはいけない。 さっきスーツの端掴んでたし遥登も我慢してんだろうな …帰ったらバカみたいにセックスしそう でも、そんな体力残ってるだろうか。 窓の外を眺める横顔にそんな事を思う。

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