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第588話

「えーっと、今日誕生日が2人います。 主役起立。 明日は民泊体験で祝えないから明日誕生日も起立。」 1日目夕食時、学年主任の声に渋々立ち上がる同級生。 居心地悪そうな主役に学年主任の話は続いている。 今日が誕生日でなくて良かったとこれ程までに思った事はない。 「おめでとう。 座っても良いぞ。 それとは別に自分の椅子の下に封筒が貼ってある人は大当たり。 特別プレゼントがあります。」 ざわざわしだす生徒達は皆一斉に椅子の下に手を伸ばす。 「あった?」 「ない」 「しゃっ、あったーっ!」 目の前で吉田が大きな声をあげた。 確かに手には茶封筒が握られている。 遠くのテーブルでも同じ様な声が聞こえた。 一体何がプレゼントされるのだろう。 「吉田おめでとう。」 「いいなー」 「やったぁ」 合計7人。 主任から紙袋を手渡され帰ってきた吉田に、田上と声をかける。 「中身なに?」 「シーサー! おもしれぇ顔のシーサーだな。」 手のひらサイズのシーサーの置物は確かに面白い顔をしていて愛嬌がある。 何処で買ったのかそんなタイミングはあったのか不思議だが、学年主任のポケットマネーらしい。 誕生日の発表は避けたいけれどこれは嬉しい。 「大切に飾ってください。 じゃあ、冷めないうちに食べるか。 いただきます。」 「いただきます!」

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