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第604話

びっくりした まさか、あんな名前のホテルの前を通るなんて思わなかった 数時間前セックスをした相手と見るにはあまりに生々しい名前に未だ心臓が五月蝿い。 落ち着かせる様に長岡から手渡されたお茶をゆっくりと飲み込む。 まだ顔があつい。 赤い顔はこの天候のせいに出来るだろうか。 キャップをしっかりと締め返そうと隣を向くと綺麗な顔がこちらを向いていた。 う、わ… やわらかいが教師の顔だ。 それでも、見られていると思うと恥ずかしくてたまらない。 寝顔も、もっと恥ずかしい姿だって見られているのにドキドキとしてしまい思わず顔を反らしてしまった。 白地過ぎた… どうしよう… フッと笑った様な気配にもう一度ちらりと伺うと手を出すので、そっとペットボトルを差し出すと長岡は口角を上げ受け取った。 きっと恋人なら髪を掻き乱し撫でるだろうシチュエーションなのに、しっかりと教師の顔をしているせいかそれもない。 もうすぐ終わる旅に寂しさもあるが、早く終わってしまえと思う自分もいる。 恋人の顔がもっと見たい。 苗字ではなく名前を呼んで欲しい。 なんか下っ腹が寂しい、かも… 長岡も我慢している事を知らず、三条は悶々と考えていた。

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