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第615話
「はー、ヤったなぁ」
「声に出さないでください…。
恥ずかしい…。」
毎週してる訳ではないが、もう数え切れない程行為を重ねてきた。
それなのに何時まで経っても事後は恥ずかしくてまともに顔を見ることが出来ない。
枕に顔を埋め顔を隠す。
正宗さんもそれを解っているのか無理矢理顔を覗いたりはしない。
強引なのは最中だけ。
俺が落ち着くまで髪をいじったり腰を揉んだり、たまにキスしたりしてくれる。
今だってそう。
髪を梳く大きな手が気持ち良い。
「好き、です。」
「ん、俺も好きですよ。」
そして、正宗さんは驚く位穏やかな声で好きと言ってくれる。
想像すら出来なかったその声は、乾いた土を雨が潤す様に自分に染み入る。
鼓膜から身体中を巡り、1番やわらかいところにそっと寄り添う。
「正宗さん、あっち向いてください。」
「ん?
これで良いか?」
背中に抱き付くなら、顔も隠せるし体温も解る。
それに
正宗さんの心音、落ち着く
「はる。
手、腹に回してくれると嬉しいな。」
「こう、ですか?」
「そう。
俺も遥登に触れる。」
前に回した手を握られより密着すると恋人の優しい声に自然と口角が上がる。
確かに長岡先生も格好良いけれど、やっぱり恋人には勝てない。
大好きの気持ちを込めて腹に回した手に力を込めた。
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