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第623話

くだらない、もとい、校長の長い話からやっと解放された。 去年も聞いた学校のブランドを汚すな、学生らしく過ごせ。 お決まりの話はもういい加減聞き飽きた。 流石に体育館では失礼かと廊下に出てから伸びをすると空気の潰れる音がする。 隣で吉田は大きく口を開け欠伸をひとつした。 「長ぇしつまんねぇし、去年もあの話聞いたし、ねっむいし。」 ただでさえ寒い中、冷えている体育館の床に長時間腰を下ろしていなくてはいけない生徒達の事も考えて欲しいよなとごちるとまた欠伸をしながら隣を歩く友人は頷く。 そらにしても、眠そうだ。 「すげぇ眠そう。 ゲームでもしてた?」 「んー、課題終わらせてた。 たんまり出されたし早めに終わらせて年始遊びてぇ。」 「吉田って真面目なんだか不真面目なんだかよくわかんねぇよな。」 「僕は真面目ですー。」 ケラケラ笑い上階へと向かう人波に身を任せる。 待ちに待った冬休みは嬉しいが、2週間担任に会えないのは寂しい。 楽しみな半面早く終わってしまえば良いとまだ冬休みがはじまってもいないのに思ってしまう。

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