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第628話
朝から洋菓子店は賑わっていた。
小さい子供達は下から長岡を見上げ笑い掛けてくる。
選ばなくて良いのかと思えば、予約客らしく、入れ替わり立ち替わり自分を見上げ手を振って帰っていく。
見慣れないサイズの人間に好奇心の塊は興味津々。
これも長岡には何時もの事だ。
買い物を済ませ急いで部屋へと買えると、事前に買い物を済ませてくると連絡しておいた三条が出迎えてくれた。
「正宗さん、おかえりなさい。
お邪魔してます。」
「ただいま。
部屋あったかくしといたか?」
「あったかいですよ。」
自分の後ろを付いて歩く三条に、サンドイッチの入った袋を渡す際、触れた手のあたたかさに言う通りあたたかくしていたのだと安心する。
健康的とはかけ離れた身体は、それだけで心配の素だ。
「昼飯も買ってきたから食おうな。」
「はい。
ありがとうございます。」
「あ、そういえば…」
洋菓子店での事を話すと楽しそうに顔を綻ばせた。
「正宗さんモテモテですね。」
「モテんなら遥登にモテてぇな。」
「これ以上ですか?」
「そう。
もっと。」
「困りました。
これ以上だと心臓が持ちません。」
はにかむ三条の頭を抱いて自分にくっつけるとくりくりとした目が上を見た。
「今日、泊まってくんだろ。」
ニヤリと口角を上げた長岡にそれが何を意味するのか理解した三条は、顔を赤くしながらも素直に頷いた。
「はい。」
「もっと好きになってもらえる様に頑張りますよ。」
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