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第641話
「昼飯作ってくれてたのか?
しかもオムライス。
うまそ。」
「すみません。
留守中に勝手にお借りしました。」
「気にすんな。
嬉しいよ。
早く食おうぜ。」
好きだと言っていたウインナーの入ったケチャップライスを薄焼きたまごで包んだオムライスに長岡は嬉しそうな顔を見せた。
オムライスののった皿とカラトリーを両手に持つといそいそと何時もの場所へと運んでいく。
三条が定位置に座ると早速手を合わせ、スプーンを突き刺した。
「うめぇ。」
「良かったです。」
「マジで美味い。
遥登が作るのって塩梅が良いよな。
煮魚も美味かったし。」
美味い美味いと子供の様にオムライスを頬張る長岡に三条はずっとにこにことしている。
見ているこっちまでにこにことしてしまう。
クラスの誰も知らない担任の顔に三条は胸をいっぱいにする。
「飯食ったら何しようか。」
「正宗さん眠くありませんか?
あまり寝てませんよね。」
「平気だよ。
それより遥登と一緒にいてぇの。」
あー、と大きく口を開けオムライスを頬張りながらなんて事ないように言う長岡に三条はドキドキしてしまう。
口に運ぼうとしていたそれを止めると長岡の手が伸びてきた。
大きな手が、わしゃわしゃと髪を掻き乱す。
「それともそう思ってるのは俺だけ?」
「俺もっ、一緒にいたいですっ。」
「良かった。
じゃあ、食ったらだらだらしようか。」
無邪気な笑顔にきゅんと胸をときめかせていると、目の前にスプーンが差し出された。
ぱくっとそれに食い付くと長岡は餌付け成功と喜ぶ。
今日は胸がときめいてしかたがない。
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