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第654話
「わ、ン…、ン」
「まだ“待て”だぞ」
長岡の上に跨がり、臀裂を陰茎が擦っていく。
あと少しで飲み込めるのに一向に入れようとしてくれない長岡に涙もカウパーも止まらない。
スイッチの入った長岡は酷く意地悪だ。
「遥登犬っぽいし今年戌年だし丁度良いだろ。」
一等綺麗な顔で微笑んでいるが、その手に持っているものは首輪だ。
シャワーを浴びたばかりだと言うのに、冷や汗が背中を伝う。
「丁度良いって…、え…っと」
プレイ用とかよく分からないけど、多分そういう類いの物ではない気がする。
あんまりそういうものに興味はないし、恥ずかしいし、マジマジと見たことはないが、すごく動物用っぽい。
「遥登に似合いそうなの選んだから大丈夫だって。
ほら、大型犬用だし首絞まんねぇよ。」
「大丈夫って…あの…」
「嫌ならしない。
遥登が決めな。」
「え…」
犬にするように顎の下を撫でられる。
それだけの刺激にぴくりと震える身体はどんどん熱くなっていく。
胸鎖乳突筋を撫で下ろし鎖骨をなぞる。
皮の剥けた噛み痕をゆっくり撫でられもどかしい指使いに、身体の芯がじくじくと熱くて呼吸まで熱くなっていた。
動物用だ。
大型犬の首輪。
頭の何処かで駄目だとブレーキがかかるが、目の前のギラギラした雄の目に見られたら嫌と言えなくなる。
…本当に?
本当に、否定出来ないのは恋人のせい?
認めたら?
「…首輪、……着けてください…」
「顔上げて。」
すぐ近くで聴こえる金属音に緊張が走る。
心臓が五月蝿い。
「きつくねぇか」
「は、い」
「よく似合ってる。
俺の犬なんだっけ。
なぁ、遥登。」
「はい、」
髪を撫でられ思わずうっとりしてしまう。
本当はそうされたかった。
だから否定出来なかった。
素直になりなよ
頭の中で俺が笑った。
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