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第665話

夜中ふと目が覚めた。 隣で眠る恋人は寒いのか自分を抱き締めている。 湯たんぽ代わりだろうか。 しっかりと背中にまで腕を回されていた。 俺もあったかい 顔を眺めていると本当に不思議な気持ちになる。 こんな素敵な人が自分を好きでその人を自分も好きで付き合えている事も、誰かを好きになるという事がこんなにしあわせなのも不思議でたまらない。 今まで知らなかった感情。 言葉にするのはとても難しくて、しあわせや幸福ともよく似ていて少し違う。 あたたかい春が来たような、身体の奥深くにあるやわらかいところがぽかぽかするようなとても気持ちの良い感情。 ずっと揺蕩っていたくなる。 贅沢な気持ち。 ふとんから出ている長岡の肩に布団を引き上げるともぞっと動いた。 起こしてしまったかと動きを止めじっとしてると、すぐにまた規則正しい寝息が聴こえてきた。 寝心地の良い場所を探しただけか。 顔にかかった髪を払い綺麗に整えられた眉までしっかり露にすると、起こしてしまわない様にゆっくり伸びる。 チュ やわらかい唇に自分の唇を触れさせぎゅっと抱き付いた。 平らな胸に額を付けて心地良い睡魔が襲ってくるのを待ちながらぎゅぅっと大切な人を堪能する。

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