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第669話

先を歩く人で踏み堅められた道路に軒先の氷柱。 吐き出す息は真っ白でぼんやりした色の空を更にぼんやりとさせる。 圧雪された雪はそれだけで歩きにくい。 つるつると滑り危ないというのに… 「さーんじょうくんっ。 うわっ」 「あぶねっ。 田上、危ないだろっ」 「久しぶり。 三条に会えて嬉しくて、ついな。」 後ろから元気に背中を叩いた田上によってバランスを崩した三条に、田上も同じくバランスを崩した。 なんとか転ばずに済んだが、隣に並ぶ友人を見ると丸っきり反省していない。 へへっと笑いながら謝る友人の脇腹を小突く。 ガサガサとコンビニ袋を靡かせながら山から降りてくる冷たい風を横切る様に校舎へと向かう人の列はまだまだ続いていた。 「モフの新製品食いてぇな。 絶対美味いだろ。」 「あぁ、美味そうだよな。 特色の面接って来月か。 その前に行く?」 「決まりだな!」 さっきの事など忘れたかの様に話ながら道を歩く。 ザクッと道端の雪を踏むとローファの中に雪が入ってきた。 融けたら靴下が湿って内履きまで気持ちが悪くなってしまう。 取り出したいが後ろにも人波は続いているし、ここで止まったら迷惑になる。 学校まで我慢しようか。 家から駅迄の短い道程で湿った靴下だから、今更濡れたくないも何もない。 それでも段々と軽くなる足取りは正直だ。

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