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第670話

自宅前も凄かったが、山が近い学校は更に凄い。 早く来たつもりだったが、既に体育教師と用務員が雪掻きをしていた。 滑らない様に気を付けながら早足に近付く。 「おはようございます。 手伝わせてください。」 「あー、長岡先生。 おはようございます。 助かります。」 職員用玄関からスコップを借りると校門から玄関に続く道を掻きはじめた。 表面が凍った雪をザクザクとかち割り投げ捨てる。 水分を多く含んだ雪はずっしりと重く腰に響く。 しかし、生徒が歩く道だ。 自分にも手伝える事があるなら手伝いたい。 白い息を吐きながら黙々と掻いていく。 ぽつり、ぽつり、と生徒が姿を表す頃には大方の歩道は確保出来た。 スノーダンプがあると一気に雪を動かせて早い。 マンションにも管理人が置いたものがあるが、小回りを考えるとスコップの方ばかり使ってしまうが広い道では大活躍だ。 砕いた雪を一気に動かしてくれる。 「先生、おはよー」 「おはようございます。 滑りやすいから気を付けてください。」 「はよーす」 この寒い中コートも着ずに登校してる生徒もいて改めて若さとら素晴らしいと痛感する。 自分もジャケットの下にセーターを着ているが、コートにマフラーも完備していた。 雪掻きで身体は熱くなったが、露出している顔や湿ってしまった手袋を外した手が痛む。 さみぃし痛ぇ 代わりにばっちり目ぇ覚めたな 重く痛む腰に上身を起こし空を仰ぐ。 鈍い色の空は白を落とし続けている。

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