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第673話
大好きなな人から甘いミルクティーをもらった。
あったかくて甘い。
階段を登り教室を目指しながらもどんどん体温を奪われていく。
握り締めるペットボトルも温度を同様にさっきのあたたかさはなくなっているが、甘く心が弾む。
さむ
早く教室入りたい
トントンと3階まで駆け上がり、後方のドアを開けるとあたたかな空気が三条を出迎えた。
「三条おかえりー」
「あ、飲み物買って来てんのかよ。
頼めば良かった。」
自席に腰を降ろすと友人と会話を楽しみながら弁当に手を伸ばす。
今日も美味しそうなおかずがぎっしり詰まった弁当にワクワクが止まらない。
「お、今日のたまご焼き葱入ってるやつ。
三条一口。」
「そのミニクロワッサンと交換なら良いよ。」
一瞬渋ったが、1つとならと交換し甘い食事も手に入れた。
パキッと音をたてて開けたミルクティーはすっかり冷めてしまったが、一口飲むと恋人の優しさが身体の中のやわらかいところをぽかぽかとあたためてくれる。
「あ、そうだ、三条の読みたがってた本近くの本屋にあったけど。」
「マジ?
欲しい。」
「じゃあ代わりに買っとく。」
「ありがとう。
助かる。」
窓の外とは違いぽかぽかとあたたかい教室には彼方此方から生徒達の楽しそうな話し声が溢れる。
もう一口飲むと優しく笑う恋人が思い浮かぶ。
あたたかくて甘くて、優しくて大好きな人。
「やべ、古典でわかんない所あんだった。
三条ノート見せてっ」
「ミニクロワッサンもう1つ。」
「あ"ー、マジか。
わかった。」
「やった!」
ノートを手渡すと引き換えにクロワッサンをもう1つ貰い、ぱくりと口に頬張りながら必死にノートを写す田上を吉田と眺め楽しい昼休みを過ごしていく。
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