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第676話

結局シメはたまごの入ったおじやにし、綺麗に食べた三条の腹は何時もの如くぽっこりと膨れている。 膨れた腹のまま三条は洗い物をし、長岡は風呂の準備に行った。 毎日掃除をしていて清潔に保たれてる浴室は掃除もすぐに終わり、洗い物が終わりきらない内に戻って来てしまう。 ひょっこりと炊事場に姿をあらわした長岡は腕捲りをしたままだった。 「風呂終わり。 洗い物は?」 「もう終わります。 座っててください。」 「手伝う。」 少ない食器を重ねて棚に片付けるとありがとなと頬を両手で挟まれた。 お湯を使ったのか何時もと違いしっとりとあたたかい長岡の手に肉のない頬をぐりぐりと弄られ、されるがままの三条は嬉しそうに顔を綻ばせる。 犬なら尻尾を降りもっともっとと強請るのだろうが生憎三条は強請りはしない。 それでも甘やかす長岡は三条の思ってる事なんてお見通しなのだろう。 「口ん中火傷しただろ。」 「少し…。 でも、口の中ですしすぐ治りますよ。」 まだ少し違和感はあるが入浴を済ませる頃には気にならなくなるだろう。 大丈夫だと笑ってみせると、目を覗かれた。 ふわりと辺りに漂う食器用洗剤のにおいがかき混ぜられると、唇にやわらかいものが触れる。 やわらかくてあったかいそれの間から舌が伸びてくると、三条の唇を舐め、口を開けるよう促す。 「ん…ン、」 おずおずと口を開くとぬるりとアツい舌が入り込んできた。 未だどうしたら良いかわからない手をさ迷わせながら息を止めてしまう三条に、長岡の舌はまるで自分の口内のように好き勝手に動き回る。 皮の捲れた上顎を擽られぞわりと快感が走った。 正宗さんこれ狙ってたんだ…っ ぺろっと擽ったり、舌で擦ったり、官能的な動きにたまらなくなってくる。 「んん…っ、…ぅ…は、はぁ」 「敏感」 やっと離された唇はお互いの唾液で濡れていた。 濡れた唇をぺろりと舐めとる姿はとてもいやらしく色っぽい。 セックスの最中の様な扇情的な長岡を恨めしげに見上げても楽しそうに笑うだけ。 「もっと擦って欲しい?」 咄嗟に口を手で覆って隠すとクスクスと楽しそうな声が降ってきた。 「本当に飽きねはぇな。」 「また俺の事からかってますね…」 やわらかな表情にわざと膨れてみせると、また唇にあたたかなものが触れた。 「またあとで沢山キスしような。」 「沢山…」 「そ、沢山。 まずは映画観んだろ。」 長岡の目をまっすぐに見るとドキドキと胸が騒ぎ出す。 バレてしまわないか不安すら掠める程に、俺はこの人に恋をしてる。 「はい。」

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