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第677話

寝室から毛布を持ってくるとソファの下に座ってる三条に掛ける。 「寒くねぇか。」 「はい。 あったかいです。」 1年以上一緒にいて、やっと慣れてきたのか最近は近くに大人しく来てくれる様になってきた。 それでもまだソファに座ろうとはしないが、そんな変化が嬉しい。 部屋も十分あたたまっているが毛布があるとよりあたたかく三条は毛布に身を埋める。 「正宗さんも入ってください。 あったかいですよ。」 「ん。 ありがと。」 長岡のやわらかな表情にはにかむ三条は一瞬考えてから一歩、手1つ分近付いてきた。 照れているのか清潔な髪から覗く耳が赤くなっている。 この気持ちに名前があるなら知りたい。 世界には腹の中で蝶が舞ってるなんてなんともロマンチックな言葉があるらしいが、この世には言葉では言い表せない感情が沢山ある。 言葉があればこの気持ちをこの子と共有出来るのに。 勿体ない。 「本当だ。 あったかいな。」 「はい。」 ぽつり、ぽつり、静かに言葉を紡ぐ。 遥登は特に激しく愛の言葉を吐いたりするする性格ではない。 それでも、目を見れば解る。 空気で解る。 それだけ遥登が心を開いてくれてると思っても良いのだろうか。 そうならば、とても嬉しい。

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