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第680話

チリッと痛んだ胸に下を見るとキスマークが着いていた。 「マーキング。 好きだろ。」 「っ!?」 上目に自分を見上げる長岡と目が合うと右口角を上げ、身を起こした。 さっきまで後孔を弄っていた指を舐めると唾液を絡ませ、また後孔を弄ろうとする長岡を慌てて止める。 「ちょっ、汚いですからっ」 「風呂入っただろ。 それに遥登で腹痛起こすんなら大歓迎。」 「そういう問題じゃ…ぁっ」 「そういう問題。」 にゅーっと侵入してきた指に三条の抵抗もすぐに終わってしまう。 長岡は第二関節まで入れた指を第一関節だけを動かした。 それはすごく楽しそうに。 その笑顔に三条はひくりと喉を震わせる。 「あったけー。 なぁ、身体ん中触られんのどんな感じすんだ?」 「え…。 変な、感じ…です」 「へぇ」 「自分以外の体温とか…不思議、」 首にペッティングを受けながら正直に答えるとふうんと長岡の興味を誘ったようだ。 体内で動きを止めた指は違和感こそあるが動かなければあられもない声を出すこともなく頭で考えて受け答えが出来る。 「変で不思議なだけ?」 「……きもちー、です」 「ははっ、素直だな。 不思議か。 そうだよな。 腹ん中に他人がいんだもんな。」 「正宗さんは…?」 「俺? すげぇ気持ちいよ。 あったかくてうねってて、ちゅーちゅー吸い付いてきて、求められてんだなって。」 「聴かなきゃ良かったです…」 「なんでだよ。 嬉しいんだって。」 優しい笑顔に、ふいと顔を背けると本棚の隅に埃を見付けた。 学校ではなんでも卒なくこなしていそうな長岡の本当の一面を見れる事に優越感を感じる。 完璧ではないから愛おしい。

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