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第684話
学生は4連休明けの水曜日。
学校内は少し浮わついた空気が満ちていた。
それは放課後になっても変わる事はない。
あちらこちらの教室から聞こえてくる楽しそうな声が校舎を明るくしている。
「三条くん。
ハッピーバレンタイン。
これ、未知子と私から。」
「ありがとう。
肉球の形だ。
可愛いね。」
「可愛いでしょ。
昨日あれから未知子と作ったの。
吉田くんと田上くんも、はい。」
「ありがとう!
すっげぇかわい!」
喜ぶ吉田に田上は笑いながらお礼を言っている。
今年もカメラに収める吉田に知佳ちゃんは若干引き気味だが、田上がつっこむと笑った。
今のA組も仲が良いが、元A組は今でも仲が良い。
早速チョコを食べた吉田はそれはすごくしあわせそうな顔を見せた。
本当に知佳ちゃんが好きなんだと解る顔に三条は何時かの様に勇気をもらう。
スクールバッグの中のチョコレート。
長岡の仕事が終わってから会う約束をした。
考えるだけでドキドキと緊張する。
本命だからだろうか。
テストはじまって、また暫く会えなくなるしその前に会えるなら会いたいな
一昨日も泊まったばかりだというのに、学校では見る事が出来ないあの笑顔が恋しい。
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