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第710話

学習机に向かって今日の授業の復習をする。 解らない所はメモをして付箋を貼った。 「んー…。 疲れた。」 伸びをするとパキと乾いた音が鳴った。 時間を確認しようと携帯を手に取るとピコンとメッセージを知らせる。 『どうせ勉強してんだろ。 休憩もしろよ。 月が綺麗だぞ。』 そのメッセージにカーテンの隙間から空を覗けば寒天に皓月が浮かんでいた。 綺麗… 「月が綺麗です。」 『あぁ、綺麗だ。』 同じ空の同じ月を見上げている。 窓を開けるとツンと鼻の奥が痛んだ。 だけど、微かに春のにおいが混じっている。 「風邪ひかないでくださいね。」 『遥登もな。』 月が綺麗ですね。 死んでも良いわ。

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