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第712話

三条の真後ろを確保すると丸い頭を眺める。 大切そうにキャンディーポットを抱え、嬉しそうに目を細める恋人。 去年も見た光景だが全く飽きない。 それどころか、また来年も、再来年も見たい。 「遥登、ひとつ貰っても良いか?」 「勿論ですっ。」 ビニールを破り差し出してくれた瓶に手を伸ばす。 適当に取った緑色を口に入れると、恋人の後頭部を思い切り引き寄せた。 「え、わ…っ!」 砂糖菓子が長岡から三条へところんと移動した。 みるみる内に赤く染まる顔も何度見ても飽きない。 「っ!?!?」 「ははっ、真っ赤。 赤いのが良かったのか?」 再度後頭部を掴まれ、身動ぐ三条に長岡の上がる口角が抑えられない。 「ちょっと待ってください。 正宗さんなんかえろい…ん、待って…」 「えろくねぇだろ。」 「普通に…ンっ、ね、普通に食べんんッ」 胸を押す腕を掴み、更に深く舌を差し入れ飴を奪い取る。 2人の間を往き来する飴玉はゆっくりと溶けるが、溶けるのは三条もだった。 「ん、はぁ…、変態みたい…」 「失礼だな。 変態みたいじゃなくて変態だろ。」 ころころ、時々かつんと歯に当たってゆっくり口中に甘さを広げながら溶けていく飴玉をまた三条に戻す。 「正宗さ、ん、ンぅ」 「んー?」 「息出来ないか、んぐッ」 ちゅーっと舌も吸うとんんぅっと可愛い声が聴こえご機嫌になる。 名残惜しいが、苦しそうな遥登に口を離すと唾液が繋がった。 掴んでいた手を離すと口元を隠す三条の頭を見下ろしながら、口の中で飴玉を転がす。 恥ずかしいのは見てとれるが、この顔が見たくてしたいる部分もある。 「仕返しするか?」 ほら、と口の中の飴玉をアピールすると暫く目を泳がせてから腰を浮かせる。 主導権を譲りたくないからか手首を掴んでからとちゅぅっと口を合わせてきた。 ふはっ、かわい 薄く口を開くとおどおどと、それでも恋人にしたら積極的に動く舌に気を良くして長岡はそのまま、三条のたどたどしいキスを受けていた。

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