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第717話
「あーあ、3年間程んど変わらずかぁ。
でも、知佳ちゃんと一緒なのはすっげぇ嬉しい。」
「嬉しいけど、少し変化欲しいかもな。
な、三条。」
「俺は、田上と吉田と一緒で嬉しい。」
「三条…っ、知ってたけど良い奴だな!
モフで飲み物1杯奢ってやる!
メロンソーダか。アイスコーヒーか。
何が良い。」
メロンソーダに昼飯がより楽しみになる。
はははっと彼方此方から笑い声が絶えない。
もう半年もすれば、この空気は変わるだろう。
受験のストレスにピリピリしはじめ、推薦がはじまればそれは加速する。
「3人組、本当に仲良いな。」
後ろから聴こえてきた耳心地の良い声に振り替えると、長身の担任がいた。
どくんと胸が騒ぐ。
「うぃっす。
あ、聞いてくださいよ。
三条、マジで良い奴なんすよ。
俺達と一緒で嬉しいとか言ってくれて。」
「へぇ。
三条、先生とももう1年よろしくな。」
「はい。
よろしくお願いします。」
はにかみながら頷くと長岡は他の生徒にはわからない位僅かに目を細めた。
その変化のわかった三条は更にドキドキと胸が騒ぎだす。
つい先日あんなにくっついていた距離より遠いのに何故だろう。
まるで毎日恋してるみたいだ。
「あ、ロッカー運んだら放課して良いって言っておいてくれるか。
ちょっと職員室寄らないとで待たせたら悪いから頼むよ。」
「うぃー。」
「ありがとう。
助かる。」
そう言って歩みを早める担任に道を譲る。
すれ違い様に手の甲に冷たくて大きな手がぶつかった。
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