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第721話

「進級おめでとう。」 正確には、年度末最終日。 去年も聴いたその台詞に1年前の出来事を思い出す。 今でもたまに使われる玩具が詰まっていた段ボールに酷似した段ボールが机の上で存在をアピールしていた。 「ありがとうございます。 先生も、A組担任おめでとうございます。」 「ん、ありがと。 またA組受け持てて良かったよ。 で、進級祝い。 開けて良いぞ。」 「進級祝いって…、うちの学校3年のやり直しじゃないですか…。」 「細かい事は良いんだよ。 ほら。」 長岡が手にした所有の証にずくんと下っ腹が重くなる。 一歩後ろに下がるもすぐに腕を掴まれてしまった。 2つに折った首輪で顎を上げる様に指示され身体が動かなくなる。 首輪…、… 「遥登は良い子だな。」 「…ん」 目蓋にキスされとろんとしてしまう。 長岡とのキスは身体中にしあわせが溢れてふわふわと身体があたたかくなっていく。 目蓋の次は鼻、そして口へとキスが降りてきた。 頬に手を添えられ、段々と深くなるキスに小さく声を漏らす。 正宗さんのキスきもちい 好き 長身の恋人とのキスに自然と上向きなる三条。 その無防備な首に首輪を掛けられてしまった。 「やっぱ似合ってる。」 飼い主の艶笑に三条はスイッチが入った。

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