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第730話

クタクタに煮えたキャベツが甘くて美味しい野菜スープは冷蔵庫の整理を兼ねて出来たものとは思えない。 腹にも優しい味がする。 「美味しいです。」 「良かった。 まだ沢山あるから腹一杯食えよ。」 あったかくて優しいスープに舌鼓を打っていると、フォークに巻き付けられたパスタが口元に運ばれてきた。 この恋人はどれだけ自分を甘やかすのか。 長岡を一瞥する優しく此方を見ていた。 ぱくっと食い付くと嬉しそうな顔をするから、甘やかされるのも嫌じゃない。 「春休み終わるな。 楽しかったか?」 「はい。 また沢山お邪魔してしまって、正宗さんは休めましたか?」 「何時もそれ聴くな。 当たり前だろ。 仕事から帰ってきて遥登が出迎えてくれんだ。 毎日でも大歓迎。」 甘い笑顔はさっきのサディスティックさが全く見受けられず胸がきゅぅんと切なくなる。 この笑顔が好きでたまらない。 「どうした? 人の顔じっと見て。」 「いえ、パスタも美味しいです。」 「遥登。 目ぇ見せてみ。」 カラトリーを置いた長岡は三条の頬を両手で包み自分の顔を近付ける。 ふわりと長岡のにおいにボディーソープのにおいが混じると、さっきの事を思い出してしまう。 今日のプレイは激しかった。 すごい事をした。 尊厳とか倫理とかそんなものを吹き飛ばしたセックスは癖になる。 いまだ首に巻き付いたままの首輪はすっかり馴染んでしまった。 「顔真っ赤」 「…っ」 「ははっ、もっと赤くなった。」 赤面を指摘され更に赤みの増す顔に長岡は楽しそうに頬を揉む。 熱くなる頬を隠す事も出来ず、されるがままにいると影が降ってくる。 「ミートソースの味」 「…っ」 ぺろっと唇を舐める恋人に今度は自分から顔を近付けた。

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