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第740話
長い脚を肘掛けの外に投げ出し三条が持ってきてくれた本を読んでいると、気持ちの良い睡魔が誘う。
やっと春になったと思ったらいきなりの真夏日。
開けた窓から入る気持ちの良い風が眠気を更に助長する。
誘われるがままにうとうととしていると耳心地の良い鼻唄が聴こえてきた。
遥登か
なんの歌だろ
落ち着くな
こうして遥登と過ごす休日は穏やかに過ぎていく。
本を腹の上に置き恋人の鼻唄を子守唄に目を閉じる。
好きな作家の対談が載っていると買った雑誌を読んでいる恋人はご機嫌のようだ。
遥登といると日常の色んな所にしあわせが転がってる事に気付く。
そして、自分がどれ程しあわせに包まれているのか気付いた。
寝てしまうのが勿体ない。
だけど、この心地好さに揺蕩うのも贅沢。
うとうとと気持ちの良い微睡みの中にたゆたっているとプレイボールの音が聞こえてきたが、もう目蓋は開きそうにない。
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