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第745話
「三条、ここのヒント頂戴。」
「どこ?
俺で解るかな。」
向かいに座る吉田はここと参考書を差し出す。
ゴールデンウィーク前半初日、三条の家に田上と吉田と集まって勉強会を開いていた。
苦手な科目をひたすら1時間ぶっ通し×3、得意な科目をひたすら1時間ぶっ通し×3と部活の様なメニューを提案してきた友人2人は同じ苦手教科に苦戦している。
1時間毎に休憩はあるが、実質3時間も苦手科目と向き合う。
まして、自分以外の目が監視にもなり真面目に取り組む他ない。
理系の友人と文系の自分で上手く教え合っている隣で宿題のドリルをこなす優登はこの春6年生になった。
「おー、わかった!
サンキュー。」
「どういたしまして。」
説明出来る迄になればきちんと理解している事になるので、お互い協力し合うこの勉強法はお互いの為にもなる。
遠慮せず聞けるし遠慮もいらない。
進路を決めてからやるべき事が明確に見えてきた。
その分深夜まで勉強したり、出来ないもどかしさが悔しかったり。
だけどもまだ頑張れる。
尊敬する人がいるから。
目標にしてる人がいるから。
その人の隣に並べた時恥ずかしくないように頑張る。
今すべき事は頑張る事。
今の三条は頑張る事が基準になっている。
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