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第747話

「かっちゃん、りゅーちゃん、ばいばい。 また遊びに来てね。」 「またな。 三条は学校で。」 「おう。 優登、またな。」 「また学校で。」 手を振る優登に友人2人も手を振り返してくれる。 6時間しっかり勉強した後ゲームしたり構ってもらえて嬉しかったのか、母さんの作る夕食を食べて解散になっても名残惜しそうに優登は駅まで送ると言い出した。 ドアが閉まり動き出す電車が風を巻き上げて、去っていくのを2人で見送る。 「コンビニ寄ってアイス買おうか。」 「良いの? やった! 兄ちゃん大好きっ」 「俺も優登大好き。」 屈託のない笑顔に三条も同じものを向けると、今来た道を逆方向へと歩いてコンビニに向かう。 「アイスは半分こしよっ。 あとお菓子買って、またゲームしよっ。」 「ゲームは良いけど、お菓子は母さんに言われないか? 夕飯食べたばっかりだろ。」 「母さんの分も買ったら大丈夫!」 「ははっ、母さんも共犯にすんの?」 「そう!」 空はどんどん色を変え、道路に兄弟の影が長く伸びる。 家に着く頃にはすっかり影は溶け、あたたかな光と両親の声が出迎えてくれた。

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