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第756話

なんなにきつく拘束してしたのに、長岡が手錠を少し触るとあっという間に拘束は解けた。 暴れたせいか手首が赤く擦れていたが連休だし大丈夫だろう。 それでも、それに気が付いた長岡はその痕に唇を寄せる。 「悪かった。 傷になっちまったな。」 「平気です。 休みですし、これ位明日には赤みも引きますよ。」 笑ってみせればありがとなと髪を掻き乱された。 長岡は細い身体の向きを変えて抱き締め、三条も顔を隠せると素直に首に顔を埋める。 長岡のにおいに混じって汗のにおいがするのがなんだか恥ずかしいけれど、愛おしく頬をすり寄せた。 俺の、正宗さん… そういえば、正宗さん妬けるって言ったよな… 自分に妬いた…? 正宗さんが…? 「あの…、正宗さん、」 「どうした?」 前髪を後ろに撫で付けながら顔にキスを降らす恋人の腕を掴むと、ちゅっと顎にキスをした。 「俺の1番は、“正宗さん”です。」 「…本当、最近生意気になったな。」 顔を真っ赤にして素直に口にしてする。 長岡は三条の鼻にキスをすると、ふわりと空気を和らげた。 「俺の1番も、“遥登”だけだから。 安心しろ。」

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