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第757話
ニュースキャスターが楽しそうに遊ぶ子供に感想を求める。
美味しそうにアイスを食べながら暑いと答える子供の細い前髪が汗で貼り付いていた。
それだけでどれ程暑いのか容易に想像出来る。
そして、長い人なら9連休だと追加してスタジオ放送に切り替わった。
「あーあ、9連休だってよ。
そんな休みあったらどうする?」
余り野菜で作ったチャーハンを頬張っていた三条はもぐもぐと頬袋を膨らませながら考える。
勉強もしたい、ゲームもしたい。
積ん読も減らしたい。
あぁ、でもやっぱりそれしかない。
「正宗さんと一緒にいたいです。」
「9日も俺と一緒で良いのかよ。」
「あ、正宗さんがゆっくりする時間がないですよね…」
自分の事ばかり考えてしまったが、長岡だって自分の時間が欲しいだろう。
我が儘ばかりはいけない。
ふと顔を下げると、わしゃわしゃと髪を掻き乱された。
「俺も9日遥登を1人占めしてぇな。
誰にも見せないで過ごしたいけど、出掛けんのも良いよな。
絶対楽しいだろ。」
「っ!!」
ぱっと顔を上げ長岡を見詰める姿は、嬉しさを爆発させる寸前の犬の様。
尻尾をぱたぱたと振り、それはそれは嬉しそうな顔を隠しきれていない。
そんな三条に長岡はくすくすと笑う。
「俺だけかと思って焦った。
遥登もそう思ってくれてて良かったよ。」
「あ、俺…我が儘言ってしまったって…思って…」
「何も我が儘なんて言ってねぇよ。
何時も言ってんだろ。
もっと我が儘言えって。
遥登に我が儘言われると嬉しいし、言ってもらえねぇと寂しい。」
「でも…」
「でも、じゃねぇの。
俺にまで遠慮すんなよ。
恋人だろ。
恋人は対等だ。」
食べる手が止まった三条の口元にチャーハンを運ぶ長岡は口を開けるように促した。
それを口にするととびきりの笑顔を見られる事を三条は知っている。
「ま、火曜も普通に授業するけどな。
引っ掛けまくりの難しいプリント作っちまおうかなー。」
「お手柔らかにお願いします…」
苦く笑えばその顔見んのも楽しいしと付け加え、差し出されたままのスプーンに食い付けば嬉しそうな顔を見せた。
とびきりの笑顔は遥登の心を擽る。
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