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第758話

もうすぐ着くと遥登から連絡が来た。 たったそれだけの文なのに、喜んでる顔が想像出来る。 遥登が犬だったなら尻尾を振って喜んでいるだろう。 何時ものバスに乗って停留所から歩いてくる遥登をベランダからこっそり見る。 最近の密かな楽しみだ。 周りを見渡して人が居ないと走って来るのが可愛くて愛おしい。 ベランダ用のサンダルを引っ掛け、前の道路を覗くとまだバスは来ていない。 「遥登」 届かない相手の、愛おしい相手の名前を呼ぶだけで身体の奥のやわらかいところがじんわりとあたたかくなる。 やがて、バスが停まり愛おしい相手が降りてきた。 大きな荷物を持った老人の荷物を降ろすのを手伝っている。 反対へと別れる老人に手を振り、キョロキョロ辺りを見回した。 ははっ 走ってくんな 案の定すぐに走り出す。 早くおいで 腕に顎を乗せその様子を見守る。 もう少ししたらチャイムが鳴る。 可愛い遥登と会える。 じんわり、じんわり、あたたかくなる。

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