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第759話

読み途中だった本も読み終わりぐーっと身体を伸ばすとパキパキと身体中が鳴る。 ゴールデンウィーク後半は恵み雨が降り、気温が一気に下がった。 今までが暑過ぎてこれが平年並みなのだが、昨日のあたたかさが恋しくもある。 夜になりより冷えるのかドラマを見ている遥登はパーカーを羽織っている。 暫く遥登を眺めていたがぬくもりが恋しくなり、隣に移動しそのぬくもりを膝の上に引き摺り上げると視界に入った日付はこどもの日へと変わっていた。 大分過ぎてしまったが 「遥登、誕生日おめでとう。」 くりくりとした目を此方に向ける三条にほらと時計を指差すととっくに誕生日を迎えている事に気付いたようだ。 デジタル時計は音もなくまた一刻と時を刻む。 「おめでとう。」 「ありがとうございます。」 ふわりと微笑むその顔に愛しさを込めてキスをする。 額、目蓋、鼻、頬、そして唇。 降り続けるキスに遥登は自分の頬を挟む手にそれを添えた。 もう一度ちゅぅっと唇にキスをされるとやっと満足したのか長岡は顔を離す。 「俺こそ、ありがとな。」 「…?」 何がありがとうなのか小首を傾げると、携帯がメッセージを知らせる。 大体検討は付く。 頬を挟んでいた手を離し動くのを待つが遥登は一向に動く気配はない。 「良いのかよ。」 「俺は、寝てます。」 「寝てんのか。」 「寝てるんです。」 だから良いんですと自分の手を握り甘える遥登を抱き締める。 清潔な遥登のにおい、子供の様な体温、頬に当たる真っ直ぐな髪。 全部が大切で愛おしい。 「おめでとう。」 「ありがとうございます。 正宗さん、何回言うんですか。」 「何回でも言う。」 またちゅっちゅっとキスをしまくると、頬を染め色っぽく笑う遥登に愛おしさが溢れ出る。 こんな顔を見れるのは自分だけ。 「おめでとう。」 「ありがとうございます。」 「ありがとな。」 「此方こそ、ありがとうございます。」

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