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第772話
どうも、こんにちは。
三条優登です。
6年生になりました!
兄ちゃん程じゃないけど身長も伸びました!
兄ちゃんはゴールデンウィークもどっかに行ってて少し寂しかったけど、今日帰ってきます。
玄関の開く音に廊下に飛び出ると丁度兄が靴を脱ごうとするところだった。
待ちに待った兄の帰宅に優登の目が輝く。
「兄ちゃんおかえりっ。
ねぇ、こっち来てっ。
早く早く。」
靴を脱ぐのもそこそこに腕を引っ張りリビングに誘うと、兄ちゃんの服からふわっと良いにおいがした。
泊まりだと兄ちゃんは良いにおいをさせて帰ってくる。
なんか、えっちだなって思う。
「なに、どうした?」
「ここ、座って。
待ってて。」
リュックを脇に置く兄にもう一度念押しして背中を向けた。
ソファに座っててもらい、急いで冷蔵庫から冷やしておいたものとフォークをもって引き返す。
「見て!チョコレートケーキ!」
「うまそー。
優登作ったの?
すげぇ。」
わしゃわしゃと髪を撫でてくれる兄はとびきりの笑顔を向ける。
この顔が大好きで、俺も笑っちゃう。
「スポンジ、あんまり上手く出来なかったんだけど。
誕生日おめでとう。」
「優登、ありがとう。
食べて良い?」
ホールケーキにフォークを突き刺すとぱくっと口に詰め込む。
兄ちゃんは美味しい時頬袋に詰め込むから見ててすぐにわかる。
むぐむぐと頬いっぱいに食べている兄をじっと見詰める。
「んまっ。
スポンジなにが上手く出来なかったのか分かんないよ。」
歪んでしまったスポンジも兄は美味しい美味しいと食べてくれる。
いちごにフォークを突き刺すと兄はそれを俺の前に差し出した。
「本当にありがとう。
すっごい嬉しい。
一緒に食おう。」
隠し持ってたフォークを見せると兄は準備良いなと褒めてくれる。
兄は、優しくておっきくてずっと俺のお手本だけど、
「あ、やべ、手洗い忘れてた…」
時々、ちゃんと人間だなって思います。
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