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第774話

遥登が居たと言ってもだらだらと過ごした連休。 つい欠伸がでてしまう。 教科書で隠しても隠しきれない程大きく口を開けてしまい、長岡は誤魔化す様に咳払いをひとつした。 「課題の解説します。 まず1問目。」 木曜から独占欲丸出しで一人占めした恋人は1つ年を重ねてもなにも変わる事なく子供の様に無邪気に笑っていた。 9歳、今は8歳年下の恋人に骨抜きだ。 カッカッと音をたてポイントを書き、汚れた手を払いながら振り返る。 教室の中央で板書をメモする真面目な頭。 その左手首が光を反射した。 「もう覚えたと思いますが、カ変、サ変、ナ変、ラ変、上一段、下一段は暗記する他ないのでまだまだしつこい位します。」 暗記物は繰り返し解いた方が覚える。 だから、しつこい位に繰り返し覚えてもらう。 「それじゃあ、次の問題の回答を隣の列お願いします。 前出て来て書いてください。」 教壇から下りると、入れ違いの様に前に出てきて回答を書きはじめる生徒達。 隅に避け、手に持ったプリントから視線を離し、何の気なしに飛び出た頭の手元を見るとそっと手首を撫でていた。 …教師の画面は剥がれてないだろうか。 そう心配になる長岡の胸元もキラリと光りを反射した。

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