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第775話
図書室で授業で使う本を借り、廊下を歩いていると後ろから足音が近付いてきた。
「長岡先生…、今、お時間大丈夫ですか…?」
白衣をはためかせ後ろから声をかけてきた生物教師は、なんだか連休前より色艶が良い気がする。
持っていた資料に視線をやる相川に大丈夫だと頷くと、おずおずと紙袋を差し出してきた。
「あの…これ、東京のお土産です…。
お口に合うと良いのですが…」
「え、いや、悪いですよ。」
「ご迷惑でなければ受け取ってください…あの…甘いの、大丈夫だったら……」
頭を下げて紙袋を差し出し、一所懸命話す相川に長岡は手を伸ばす。
「ありがとうございます。
甘いの好きなので嬉しいです。
いただきます。」
「あ…、はいっ」
長岡の言葉に相川はしっかり頷いた。
授業もあと10分程で終わる。
廊下では授業中の制度の迷惑になってしまうと終鈴が鳴るまで生物室で話を聞く事になり今来た廊下を歩いていく。
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