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第776話
「東京はいかがでしたか。」
「人が沢山居て……酔ってしまいました…。
あ、でも、楽しかったです。
ふれあい動物園に連れて行ってもらって…触ったり出来て、とても、とても楽しかったです。」
「それは楽しそうですね。
食事は上手くいきましたか?」
「はい。
喜んで貰えました。
長岡先生の言う通り、魚が美味しかったです。」
その時を思い出しているのか、相川の口角が上がった。
この人にこんな顔をさせられる恋人は楽しいだろうな、と思うと同時に、あの笑顔を思い出す。
楽しい。
嬉しい。
恋人が自分の事を思い出して、こんなにやわらく笑ってくれていたら。
そう考えるだけで満たされていく。
あぁ、でも、その顔は自分は見れないのか。
見れる奴が羨ましいし少し悔しい。
「長岡先生は…何処か行かれましたか?」
「いえ、僕はほとんど家から出ませんでした。
コンビニとスーパーと、催事に少し。
あとは本を読んだり野球観たりでした。」
そして、恋人と過ごした。
誕生日を祝い、一緒に飯を食って風呂に入って、ずっと独占していた。
それは秘密。
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