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第777話
今日も天気が良い。
初夏の様な気温に開けた窓から気持ちの良い風が頬を撫でた。
頬を撫でた風は、定位置に座る遥登の髪も悪戯する。
サラサラと靡かせる風が羨ましい。
「遥登。
隣、おいで。」
「あ…、失礼します。」
おずおずと隣にやってくる三条が可愛くて思わず手を握った。
驚いた様に此方を見る三条は握られた手と長岡の顔を交互に見ると、やわらかく表情を和らげる。
その瞬間、辺りいっぱいに花が咲く。
綺麗であったかくて、特別で、一等大切な花。
「あったかいです。」
「あぁ、あったかいな。」
窓からの外から、子供の楽しそうな声が聞こえてきた。
子供の声に遥登は野球が楽しそうだのメンバーが足りなくてどうするのだろうところころ笑う。
「飲み物のお代わり大丈夫ですか?」
「まだあるよ。」
文庫と一緒に傍らに置いたコーヒーはもう1時間以上も前に淹れたものなのに、まだ半分近く残っていた。
隣から離れたくないからなんて子供の様な理由は秘密。
「じゃあ…、一緒に写真撮っていただけませんか?」
「あぁ、勿論。
一緒に撮ろうか。」
そう言うと、嬉しそうな顔が近付いてきた。
あたたかくなる笑顔に頬の筋肉がだらしなくなる。
この顔が大好きでたまらない。
大好きで、大切で、愛おしい。
「撮りますよ。」
よく晴れたある日写真を2枚撮った。
1枚は遥登が満面の笑顔の写真。
もう1枚は、撮る間際、遥登に愛してると呟いて赤面させた写真。
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