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第779話

「また、顔出すから。」 『正宗の好きな物作っとくから、来る前に連絡しなさいよ。』 「善処する。」 『お花、ありがとうね。 枯らさないようにするから。』 電話口に愛猫の声が聞こえはじめた。 鳴き方から蓬だろう。 飯の催促か甘えたいか、きっと母親の足に頭を擦り付けてるはずだ。 『じゃあ、風邪とかひかないようにね。 栄養あるもの食べて、本ばっかり読んでないで夜はしっかり寝なさい。』 「それも善処する。」 『じゃあね。』 本当に母親は子供のことばかり気にかける。 同じだけ自分の事も気にかければ良いのにな。 だけど、別にそれが損だとは思わない。 その分、自分や周りが気にかければ良いだけだ。 それに気付けて良かった。 たった1鉢の花をきっと母親は大切に飾るんだろう。 蓬達に倒されなきゃ良いが。 吐き出し窓を開けると本から視線を上げた遥登が口角を上げ出迎えてくれた。

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