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第784話

出してもらった冷たいお茶を飲みながら恋人を一瞥すると、だらりとソファの背凭れに凭れ長い脚を投げ出して野球中継を眺めている。 『素敵な悩みですね。 今の言葉、恋人にも言ってみたらどうですか。 あと、自分から誘うとか。』 誘う… 担任の言葉は担任のものだ。 だけど、長岡正宗としての言葉なら。 同じ個から発せられた言葉だけど、立場が違えば意味も違ってくる。 どちらのものか考えて都合良く後者だと受け取った三条は、よしと気合いを入れる。 イメトレだけはしてきた 大丈夫 俺は出来る 「正宗さん」 「ん? どうした。」 失礼しますと長岡の膝に跨がる。 思ったよりも顔が近く、じわじわと顔が熱くなっていくのがわかる。 でも、今日はやると決めた以上引き返さない。 「正宗さんの事、好き、過ぎて困ってます…」 三条は長岡の頬に吸い付くと甘い声で告白した。 目を覗き込むとあの目も自分を見ている。 見とれてしまいそうなのを振り払い、鎖骨に舌を這わせた。 「なんで舐めてんだ。 俺の事食うのかよ。」 舐めながら上目に様子を伺うとにやにやと艶笑みをたたえこちらを見ていてなんだか悔しい。 耳を擽る冷たい手を掴むと、ちゅぅっと手のひらに吸い付くが長岡は代わらず笑っている。 「はーるちゃん」 「…食べます…っ」 耳馴染みの良い声に流されてしまいそうだけど、今日は自分が主導権を握ってみせる。

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