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第845話

真上にいる太陽が容赦なく照り付け旋毛が痛い。 三条の腹がぐーぐーと鳴り、田上の飲み物の2本目が底を付く頃、やっと昼休憩に入った。 ぐーっと身体を伸ばすと気持ちが良い。 はぁと息を吐きながら肩を下げるとお疲れとジャージ姿の担任とカメラを持った年配が本部テントの方からやって来た。 滴る汗が色っぽいなんてやましい事を考えてしまう。 暑いから汗位かく。 かいて当たり前だ。 やましい事を振り払う様に飲み物を一口飲み込んだ。 「お疲れ様。 A組、写真撮影してもらうから並んでください。」 長岡は自前のデジカメをポケットにしまいながらA組の輪の中に入ってくる。 緩くあけられたジャージの隙間から鎖骨がチラチラと見えて目に毒だ。 恋人のは見慣れていても、担任のものになるとなんと言うか男を感じると言うか。 何時ものかっちりとスーツで隠れている首元がやけに無防備に見える。 咳払いをすると田上が不思議そうな顔をして見てきた。 「アルバムにも使うから良い顔してな。 幹部は落ちんなよ。 気を付けろ。」 櫓の上に登る応援団長や幹部に声をかけながら、飛び出た頭はその他の生徒と共にその櫓の前で整列する。 太陽に透けてキラキラ光る髪がとても綺麗。 「良いですかー。 いきますよ。 はーい、良い顔してくださーい。」 カメラマンの声にポーズを取ると数度シャッターを切られた。 三条も田上や吉田と並び笑顔を見せる。 知佳ちゃんも、未知子ちゃんも。 長岡も。 笑顔の一瞬を切り取ると担任に確認をとり、カメラマンはB組の元へと移動して行った。 「ありがとうございました。 あ、先生も写真撮るから動くのちょっと待って。 いくぞ。」 完全にふざけたA組に長岡は諦めにも似た笑顔をつくると、これ使うぞと脅す。 やだーなんてあちこちから聞こえるけど、でも、その写真はA組らしくてみんな良い笑顔だった。

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