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第846話
椅子もない教室で床に座ったり、教壇を椅子代わりにしたり各々楽しみながら昼食を済ましている。
三条達も後ろの吉田の机に固まり昼を食べていた。
昼食を済ませながらも写真を撮り合ったり動画アプリで遊んだり、特に3学年教室は賑やかだ。
ご飯もそこそこに喋っていると知佳ちゃんと未知子ちゃんがやって来た。
「三条くん、一緒に撮ってもらっても良いかな?」
「うん。
勿論。
田上達も良いかな?」
「うんっ」
千佳ちゃんも未知子ちゃんとも写真を撮り、吉田はご機嫌。
デレッとした顔を隠し何時もの顔で笑っている。
自分も笑ってしまいそうなのを堪えて何時もの顔で笑っているが、何時までもシャッターが切られない。
「あれ、吉田くんすのー反応しない………あ、した!」
「え、俺だけ!?」
「吉田人間だと思われてない説」
「やだ、田上くん笑わせないで」
田上の発言がツボに入った知佳ちゃんは必死に笑うのを堪えようとするが、遂には涙まで滲ませる。
え?え?と混乱する吉田の顔を見てついにスマホを未知子ちゃんに渡し、笑う事に抗うのをやめた。
「吉田くん、ごめんね…でも、面白くて…ふふっ」
「吉田めっちゃうけてんな。」
「知佳が爆笑してる。
珍しい。」
目尻に浮かんだ涙を拭い笑う知佳ちゃんを見詰める吉田に視線をやると、やわらかく愛おしいしそうな目で彼女を見ていた。
人は好きな人を見る時こんな顔になるんだと見ていると、なんだか眩しくて、身体の中のやわらかいところが擽ったくなって、恋人に会いたくなる。
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