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第847話

「ふふふっ、ごめんね…吉田くん、笑っちゃって、ふふっ」 「良いよ。 知佳ちゃんが笑ってくれるなら。」 「はぁー、笑った。 多分もう大丈夫。 改めて撮ろう。」 一通り笑いきったのか知佳ちゃんは息を吐くと前髪を整えた。 それが合図の様に吉田は何時もの顔に戻る。 不思議な光景だった。 だけど、素敵だった。 知佳ちゃんの手の中の小さな画面に収まる様上手く位置を確認すると、シャッターが切られる。 一瞬を切り取った画面には動物の耳や鼻を付けたみんながいて、やっと人間だと認識されたな!と田上の発言に知佳ちゃんはまた笑いだした。 暑い教室で、汗だくになりながら最後の確認をする体育祭幹部や、こんな日でもかわらずゲームをする横田達。 本当にA組は楽しい。 「ふふっ、ラインで送ったから、ふふ…ははっ」 「ちーかちゃんっ、俺の顔見て?」 「ふっ、ごめん…吉田くん…今は…、ごめん…」 しまいには咳き込みはじめた知佳ちゃんとそれを愛おしそうに見ている吉田を少し離れた所で見ているとピコンと写真が送られてきた。 手の中と全く違う顔を見せる目の前の吉田はとても格好良い。

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