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第848話

玄関が混む前にと早目にグラウンドに出て応援席へと3人で歩いていると後ろから手が伸びてきた。 「あ、三条いた。 写真撮ろうぜ。 はい、ちーず」 いきなり肩に手を回され隣を見ると新道がちーずとスマホを掲げている。 思わず吹き出すと少し遅れてシャッターの切られる音がした。 「ありがとう。 やっぱ三条ほせぇな。 首も肩もほぼ骨じゃねぇか。」 「いきなり誰かと思った。」 「うん? 俺。」 にやりと笑う新道につられて三条も口角を上げると、携帯を振って見せた。 「ライン交換しよ。 これ送る。」 「うんっ」 しゃかしゃか振ってIDを交換すると 『新道』 『(^ω^三^ω^)』 と隣からメッセージと今しがた撮った写真が送られてくる。 「新道ってそういうキャラなの? もっとクールだと思った。」 「俺がクールなのバレてたかー。」 楽しい声を掻き消す様にチャイムが鳴り響くと、体育教師が大きな声を張り上げ着席を促す。 ぞろぞろと校舎から人が伸び、先程の賑やかさが更に増していく。 体育教師の話がめんどくさくなる前に戻ると、じゃと手を上げて友人の元へ駆けていった新道を見送り、三条も友人達の元へと合流した。 友達になるのに、早いも遅いもなかった。 まるで小学1年生の様にわくわくする。

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