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第849話

綱引きに、大縄跳び、午後からは応援合戦に何故か校歌合唱。 これも得点に入る。 それから学年別対抗戦に、最終戦はおふざけ混じりの対抗リレー。 何処の軍も、クラスも明日の事なんて考えもせず声を上げ、全力で楽しんでいた。 ご近所から見物にやって来た方々も楽しそうに応援してくれる。 「赤軍がんばれーっ」 「がんばれっ!」 いくら平等に振り分けているとは言え、陸上部がいるクラスは有利だ。 先頭と最後尾は半周差が開いている。 「お、今年もアンカーは長岡か。」 「良いよな。 手も脚も長ぇし。」 「モテる訳だよ。 羨ましい。」 横からぬっと出てきた田上と吉田の目線の先にはジャージを羽織ったままの長岡がいる。 ワックスで整えられた髪にジャージ、スニーカーがチグハグなのに格好良い。 すらっとした体型を隠してしまうジャージでもスタイルの良さがわかるなんて羨ましい。 「長岡せんせーっ」 女子達の黄色い声援を聞こえないフリをして体育教師からバトンを受け取った。 キラキラ輝く髪が応援席に近付いて来るも心臓がドキドキと騒ぐ。 一回り歳が離れているとは思えない。 担任はまたひとり追い越した。 三条は手をぎゅっと握りクラスメイトと応援する。 「A組がんばれっ!」 「長岡もがんばれーっ!」 正宗さん、がんばれっ あっ、いけっ!いけっ! 流石のリーチに男子生徒と互角の争いになる。 三条は爪が平に食い込む程手を握り締め、その瞬間を食い入っていた。

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