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第858話
寝苦しさに目を覚ますと目の前の額に玉の汗が浮かんでいる。
あっつ…
クーラー…
腕の中の恋人を起こさない様、手探りでリモコンを探し出すとタイマーがかかっていたようだ。
つけっぱなしにしてたつもりが何時もの癖でボタンを押してしまったのだろう。
締め切った密室で蒸された空気は気持ち悪い。
急いで運転ボタンを押した。
それでも、目を覚まして1番はじめに恋人が視界に入るのはしあわせな目覚めだ。
汗で張り付いた前髪を剥がしそこに唇をくっつけるとしょっぱい味がする。
暑くてもくっ付いていたい。
遥登のにおい、遥登の体温、遥登。
ずっと手に入れたかった遥登。
細い身体を抱き締めて冷房が効くのをじっと待つ。
そうしてしばらく子供体温を感じているとやっと汗が引いてきた。
癖のない真っ直ぐな髪をそっと撫でまた目を閉じる。
起きたらまたあの笑顔が見れます様に。
あの目で笑ってくれます様に。
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