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第861話

「あの…、抱き付いても、良いですか…?」   「勿論。 おいで。」 ぎゅぅっと抱き付くと恋人のいいにおいがした。 夏みかんに似ていて、少し違う。 恋人のにおい。 長岡は三条を抱き締めたままベッドに寝転び、何時もより冷たい体温を感じる。 何時もの子供体温は冷され、冷たくて気持ちが良い。 それに、心音が心地良い。 生きている鼓動だ。 「アイスでも食うか?」 「今は良いです。 …もう少し、このまま」 「ん。 このままいようか。」 自分の胸に顔をくっ付け珍しく甘える遥登の好きにさせる。 気持ち良さそうに閉じられた目蓋。 腰に回る手。 何時もの子供体温よりは低いが、それでもあたたかな体温が伝わってくる。 「遥登あったけぇな。」 優しく髪を撫で耳にかけると、赤くなっていた。 「正宗さんは冷たくて気持ちいです。」 「そうか。 好きなだけ抱き付いてくれ。」 「1日中でも、ですか…?」 「ははっ。 1日中でもどうぞ。」   三条は頭から降ってくる心地好い声にこくんと頷く。 項を撫でると擽ったいと身じろぐ身体。 棒の様な腕を自分の首にかけ、唇に触れると2人で笑った。 とてもしあわせそうに。

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