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第862話

長岡とイチャイチャしているとそういう空気になってきた。 空気が甘くふわふわしてきて、長岡の色気も混ざるとなんとも言えない。 「正宗さん…」 「んー?」 わざとらしく上目に見たと思えば脇腹を撫でられる。 薄いシャツの上から肌の上を滑る手がもどかしい。 はぁ、と吐いた息は自分でもわかる程甘かった。 首に顔を埋める長岡のこめかみに吸い付く。 「なんだよ、んな可愛い事して。 したい?」 「…意地の悪い、聞き方…」 「遥登の口から聴きてぇし」 顔にかかる髪を後ろに撫で付けながら、綺麗に笑う恋人は時々意地悪だ。 俺が恥ずかしいと解っていてさせる。 だけど、本当に嫌な事はわかるのか無理にさせようとしない。 三条は長岡をじっと見る。 自分を見詰める、あの目に自分が写っていた。 この目、好き 「どうした?」 「…した、い、です」 口にするのが苦手な俺の小さな変化をみて、考えてくれているんだと思う。 だから、俺も頑張って口にすると長岡の口角が上がった。

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