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第873話
こうして沢山話せていると、良い関係を築けていると確認出来る。
だけど今回の話はそういう話ばかりと言う訳にもいかない。
長岡は真面目な顔をするとほんの少し声を低くした。
「ただな、辞退されると学校側としては都合が悪い。
来年声かけてもらえねぇって事になるとな。
だから、本気なら進める。
迷ってるなら…って話になるんだ。」
「迷いはありません。」
長岡の真面目な声に、三条は背筋を伸ばす。
その姿は竹の様に真っ直ぐで撓やかで綺麗だ。
真っ直ぐ自分を見据え、凛として言った三条に長岡は頷いた。
迷いが消えた三条は強い。
真っ直ぐな目が、真っ直ぐに自分をとらえる。
真摯なその姿。
姿勢。
自分が惹かれた三条はそういう生徒だと改めて実感した。
とても誇らしく、とても格好良い。
自慢の生徒。
自慢の恋人。
こちらまで自然と背筋が伸びる。
「よし。
じゃあ、話進めるか。」
「よろしくお願いします。」
深く頭を下げた三条の髪をぽんと撫でると早速話を進める準備に取り掛かる。
「はい。
任せてください。
それも先生の仕事ですよ。」
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