877 / 1273
第877話
長岡は真面目な顔をするとほんの少し声を低くした。
真面目な長岡先生の顔と声だ。
「ただな、辞退されると学校側としては都合が悪い。
来年声かけてもらえねぇって事になるとな。
だから、本気なら進める。
迷ってるなら…って話になるんだよ。」
「迷いはありません。」
もう迷う理由はない。
目標がある。
それを見誤りさえしなければ大丈夫だ。
真っ直ぐに見詰めると、真っ直ぐな目が自分をとらえる。
真摯なその姿。
姿勢。
自分が惹かれた長岡はそういう先生だと改めて実感した。
とても誇らしい。
とても格好良い。
自慢の先生。
自慢の恋人。
「よし。
じゃあ、話進めるか。」
「よろしくお願いします。」
頭を下げると、ぽん、と頭に触れる冷たい手。
「はい。
任せてください。
それも先生の仕事ですよ。」
そう言って担任は綺麗に笑ってくれた。
ともだちにシェアしよう!