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第885話

腕の中にいる三条の髪を梳く。 さらさらと溢れる癖のない髪が好きだ。 頭を撫でるように何度もその髪を梳いていると、三条は腕の中で気持ち良さそうな顔を見せる。 「そんなくっついて、汗くさいだろ。」 「そんな事ありません。 正宗さんの良いにおいです。」 すりっと甘えてくる三条はワイシャツに顔を埋めてしまう。 汗でにおうし湿ってるだろうにお構いなしだ。 こんなに積極的に甘える三条も珍しい。 正直、そんな可愛い姿をもっと見ていたい。 引き離そうと上げた腕で細い身体を抱き締める。 「遥登の子供体温すげぇ好き。」 「俺も、正宗さんの低い体温好きです。」 「夏だし?」 「夏も冬も好きですよ。」 ぐー、きゅるる… 体温を分かち合いしあわせに浸っていると、その雰囲気に似合わない音が2人の間に鳴り響いた。 その音の出所である三条は困った様に眉を八の字にして苦く笑う。 「ははっ、飯食おうか。」 「はい…」 端から見ればどうでも良い様なありふれた日常がこんなにもしあわせに思えるのは、きっと恋人のお陰だと長岡はそれを噛み締める。

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