892 / 1273

第892話

遥登と見る花火はなによりも綺麗だ。 遥登と食べる飯はどんなものよりも美味い。 遥登といる時間はなによりも欠が得ない程にしあわせだ。 「…まさ、ね、さ…俺だけ、をみてくらさ」 セックス以外の事を考えていた事に気が付いたのか、俺だけを…を首に回る三条の腕に力が入った。 本当に… 「ん、見てる。 遥登しか、見えねぇ」 花火は確かに綺麗だった。 だけど、きっと1人で見たってただの火としか捉えないだろう。 破裂音がしても気にさえしないかった。 なのに隣に遥登がいるだけでこんなにも色を変える。 遥登がいるからこそ。 「そこッ…あ、あ、…ンぐっ」 「ココ、前立腺好きだよな。 もっと突いてやるよ。」 じわじわと目が潤み、遂には涙が一筋溢れた。 それを拭う様に親指で撫でる。 冷えきっていない部屋で汗をかきながら、言葉通り貪る様に求め合う。 「いきそ…いきッ…いきた…」 「イけよ…ほらっ、ココ、だろっ」 「イ"…ッ」 視線を下に移すと、遥登の陰茎も勃起し先走りでべとべとになっていた。 「イ"ぐ…っ、…イッ、い」 「イきな、きもちくなろうな」 膝裏を掬っていた手を離し、覆い被さる様に腰を押し付ける。 押し付け、擦り付け、揺さぶる。 まるで発情期の犬の様だ。 肉のぶつかる音と潤滑油がたてる卑猥な水音。 ベッドの軋みに、遥登の声。 遠くに聞こえる車の走行音。 全部が自分を煽る。 何時からこんなに我慢が出来なくなったのだろうか。 「…ァ…、ぁ"……」 遥登の脚が腹をぎゅぅっと挟んだかと思えばビクビクと震え、絶頂した。

ともだちにシェアしよう!