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第895話

何時も通りの遥登のいる休日。 ごろごろと本を読んでいると服の裾を引かれた。 髪を切ったらしく少し短くなった三条の髪がさらさらと光にきらめく。 「ん? どうした。」 「あの、たまにお邪魔しても良いですか…? 夕方迄近くの図書館で勉強してますから、その、会えたら…嬉しいです。」 補講も終わり平日は全く会えなくなってしまった。 それまで毎日会っていただけに変な感じもするのは長岡も同じ。 昨日だって折角の休日だと言うのに、午前中は進路関係の仕事が入り何時もより短い時間しか会えなかった。 会えるなら会いたい。 おずおずと申し出た三条を安心させる様にぽんっと頭に手をのせる。 また大きくなったのか、手の位置が上がった気がする。 こんなに大きく育っているのにまだ成長期か。 「構わないよ。 俺も会いてぇし。 でも、昼飯どうすんだ?」 「近くのコンビニかパンで済ませます。」 「1人で済ますのかって意味だったんだが…飯作っとくから食いに来い。」 ただでさえ細い身体をこれ以上細くする訳にはいかない。 流石に折れる。 持ち上げた手首は華奢を通り越していた。 「でも、そこまでしていただくのは悪いです…」 「構わねぇよ。 早く帰れそうなら連絡するから一緒に夕飯食おう。」 その言葉に花を咲かす三条にぶんぶんと尻尾を振る犬の姿が重なり、長岡はくすくすと笑う。 一緒に食おうなんて誘ったが、本当は長岡が一緒に食べたいだけ。 甘えさせるフリをして自分が甘えている。 「じゃあ…」

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