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第911話
どの料理も最高に美味かった。
今日も餌付けが成功してとびきりの顔が見れたのも大満足。
食事が終わるとお待ちかねのケーキの時間だ。
イメージより甘ったるくないケーキにまたフォークを突き刺す。
ホールのまま、2人で半分近く食べていた。
「遥登、あーん」
「あーんって…わ、溢れるっ」
フォークでケーキを掬っては遥登の口に運び、口の回りをクリーム濡れにしていく。
それを指で拭い舐めとろうとするのを腕を掴んで阻止すると、くりくりとした目が此方を向いた。
「なに、…んぐッ」
白く汚れた口元にたまらず食らい付いた。
キスをしながらクリームを舐めとり、それを口移す。
物理的にも甘いキス。
「え、ろい……ん、…ふ……、ぷぁ」
「ん?
苺も食いてぇって?」
「そんな事言ってませ…、あ、待ってください。
その苺は正宗さんが食べてください…正宗さんの為に買ったから…」
苺を銜え、顔を近付けるとこれでもかとキョドり始めた遥登が可愛くてもっと意地の悪い事がしたい。
耳に触れながら首の後ろに手を回すとびくっと大袈裟な位身体を跳ねさせる。
その初な反応が自分を誘うとまだ解らないのか。
無自覚な分だけタチが悪い。
「ん、…」
三条の唇に苺が触れるもぷるぷる震えながら口は一文字のまま。
フォークを置くとその手を顎にかけ開かせた。
「…っ、」
薄く開いた口になんとか押し込むともごもごし始める。
キスの最中呼吸を止めてしまうんだったと手はそのままに口を離すと、真っ赤な顔を腕で隠しながらごくんと飲み込んだ。
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