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第913話

「正宗さん、誕生日おめでとうございます。」 「沢山言ってくれんだな。」 「俺も、何回でも言うんです。 おめでとうございます。」 自分の誕生日に言ってくれた言葉を返す。 嬉しかったから。 しあわせだったから。 目の前で微笑む大切な人を、しあわせにしたいから。 また触れ合う唇に頭の中がとろとろする。 「すげぇしあわせ…」 味わう様に洩れた言葉が頭の中に染みていく。 喜んで貰えて良かったと啄むようなキスを繰り返していると、服の上から乳首をなぞる指にぴくりと陰茎が反応した。 腰が引けた三条に長岡は声をかける。 「痛いか?」 「んーん、大丈夫…です」 大丈夫。 それは嘘ではないが、触られると昨日の余韻が続いているのかなんだかいやらしい気分になってくる。 あさましい。 「どうなってるか確認しなきゃな。」 言うが早いか服を捲し上げられ貧相な身体を好きな人に見られる。 裸だって見られてはいるが、やっぱり恥ずかしい。 肋の浮いた胸も骨に皮が張り付いた様な腰骨も貧相で、そんな身体にも長岡は欲情してくれると解ってからは別の恥ずかしさも感じている。 「…っ…、…」 「ガリガリなのに腹だけ膨れてる。 これどこいってんだ。」 腹を撫でていた手が臍をゆっくりとなぞりはじめた。 むず痒い様な擽ったい様な、感じる様な動きに三条はみじろぐ。 やば、い… 変な気分になってくる 「乳首も、腫れてる。 噛みすぎたか。」 「大丈夫です…」 「大丈夫じゃねぇだろ。 なんでこんな腫れてんだよ。」 「それは…」 長岡は指先でいやらしい程ゆっくりと天辺を撫でる。 目覚めてから時々、服に擦れ変な感じはしていた。 ぷくっと脹れた乳首は昨日の名残ばかりではない。 「………………かんじた、から…です」

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